レスターブログ

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プレミア各クラブが今冬FFPの範囲内で使える金額について

今回は1月1日に開幕した移籍市場において、プレミアリーグに所属する各クラブがFFPの範囲内で補強にいくら使えるのかについて紹介していこうと思います。

 

 

まずはFFPについての簡単な解説から始めます。

FFPの解説

正式名称 Financial Fair Play

 

FFPの歴史

2007年 UEFA会長に就任したミシェル・プラティニによって提唱

2009年 UEFAの理事会で導入が決定

2011年 実際に導入

2014年 施行

 

FFPの目的

赤字経営の抑止

ヨーロッパのサッカークラブで蔓延していた赤字経営。クラブの収入を上回る無茶な補強による赤字をオーナーの資産や金融機関からの借り入れで補填することもしばしば見られました。リーマンショックによる金融危機などによりUEFA加盟55協会の1部リーグ所属全クラブを合わせた赤字総額は20億ユーロに迫るという深刻な事態でした。*1

このような事態を改善するためにクラブ経営の最低ラインをブレイクイーブン(収支トントン)にまで引き上げることがFFPの1つ目の目的です。

 

過剰投資の抑止

マンチェスターシティのアブダビ王室やチェルシーアブラモビッチ氏などのEU外資本が参入したことにより、オーナーの資金力にものを言わせて莫大な投資を行うクラブが現れ、移籍金や年俸の相場高騰につながる移籍市場のインフレが引き起こされるといった事態も同時に起こりました。

この移籍市場のインフレを抑えることがFFPの2つ目の目的です。

 

FFPの基本ルール

過去3シーズン支出(移籍金や人件費)と収入移籍金や入場料、放映権料、大会賞金、スポンサー収入)が調査の対象となり3期累積で500万ユーロの損失までは認められています。ただしクラブの所有者または関連当事者がこれらの損失をカバーできる場合は3000万ユーロの損失までは許められます。

育成に関する費用や、スタジアムや練習場などの施設を整備する費用は支出に含まれません。

 

(ここで出てくる数値は架空のものです)

レスターの場合19-20シーズンに監査の対象となるのはこの3期です。

2019年6月期(2018年7月1日~2019年6月30日まで)損益 ー50m

2018年6月期(2017年7月1日~2018年6月30日まで)損益 +30m

2017年6月期(2016年7月1日~2017年6月30日まで)損益 +15m

この場合2019シーズンは-50mユーロですが3期累計だと-5mユーロとなるためFFPによるブレイクイーブン条件を満たしていると言えます。

 

ちなみにFFPに違反した場合は高額の罰金UEFA主催のコンペティションへの出場資格の剥奪などの罰則が科されます。

 

例外

  • 自主協定 VA Voluntary Agreement

事前にクラブ側から経営計画書を提出しその審査が通った場合には最長4年間FFPの制約を超える赤字経営が許容されます。

  • 小規模クラブの免除

関連収支、関連費用共に500万€未満の小規模クラブはFFPのブレイクイーブン条件の適用が免除されます。

今期(21-22)は18、19、20+21シーズンの3つが対象となります。

20と21を一つにすることでプラスの場合はそのまま、マイナスの場合は半減されます。

20と21はコロナでの減収も考慮されます。(19の収益をベースとした見込まれていた収益と実際の収益の差額が考慮されます)

 

要約 (急いでる人はここ読んで1)

いろいろ説明してきましたが、要は「3年間で出費と収入トントンにしてね。できないならヨーロッパの大会から追い出すよ」ということです。

 

プレミア各クラブの今冬に使える金額 (急いでる人はここ読んで2)

www.dailymail.co.uk


こちらの記事によるとプレミアリーグに所属する各クラブが今冬FFPの範囲内で使える金額は下の表の金額となります。

f:id:Leicestertv:20220115141616j:image

※おそらくエバートンからヴィラに移籍したディーニュやバーンリーからニューカッスルに移籍したウッドなどの最新の移籍は反映されていません。

この表に記載されている金額はあくまでFFPのルールに反しない限度額ですので、シティやチェルシーなどは満額使うことができるかもしれませんが、バーンリーが1億7000マン£やノリッジが9000万£を使うことはまずないと思います。トッテナムも4億£丸ごと使うことはないとは思いますが、今季途中から補強に積極的であるコンテが監督に就任しているためある程度大きな補強に動くかもしれません。

レスターは7900万£(日本円で約123億円)を今冬使うことができますが、夏の移籍市場で大きな額の放出をしないまま約5500万£でダカ、スマレ、ヴェスターゴーアを獲得しているため、補強は急務のCBをレンタルするのみ、放出も良いオファーがあれば容認するなどの控え目な動きなることが予想されます。

 

まとめ

今回は各クラブがFFPのルール内で使える金額を紹介しました。

レスターは毎年主力選手を放出しており今夏の移籍市場での動きはかなりイレギュラーなものでした。それだけCL出場権獲得に向けて賭けに出ていたということであり、結果が伴っていない以上今冬以降は放出が続くことも覚悟しておかなければいけません。

 

ちなみにCLやELに出場した際に得ることができる金額はこちらの記事で確認できます。

qoly.jp

*1:footballista#081より引用