市場価値と勝ち点の関係
1月20日に延期されていたレスター対トッテナムの試合が無事行われたことにより、バーンリー以外の全てのクラブがリーグ前半戦(19試合)を終えました。首位争いはシティを筆頭に新BIG3との呼び声の高いリバプールとチェルシーが1つ抜けており、降格圏はノリッジやバーンリー、ワトフォードなどのクラブが争うという一見順当な結果となっています。やはりお金なのでしょうか?お金を積んで良い選手を集めたチームには勝てないのでしょうか?
この疑問を解消するべく今回はプレミアリーグに所属する各クラブの市場価値とリーグ前半戦(19試合)終了時点での勝ち点の関係について調査しました。
今回使用する各クラブの市場価値はtransfermarktの1月12日時点のものを使用しました。
勝ち点は前半戦ということで各クラブ19試合終了時点のものを使用します。例えば調査時点で22試合消化しているマンチェスターシティの場合は最新の3試合で得た勝ち点を除きます。(バーンリーの19試合目を待っていると2月に入ってしまい前半戦感がなくなってしまうので、バーンリーは17試合終了時点の勝ち点11を使用します。バーンリーサポの方が読んでいたらごめんなさい。)
関係(21-22)
こちらが各クラブの市場価値と勝ち点の関係となります。
相関係数が0.868ということなのでクラブの市場価値と勝ち点の間にかなり強い関係が見られます。
※相関係数は1に近いほど正の相関が見られ(関係している)
ー1に近いと負の相関が見られ
0に近いと相関がないということ(特に関連が見られなかった)ということを表します。
関係(20-21)
今シーズンだけでは偶然かもしれないので参考までに昨シーズンのデータでも同じ調査をしてみようと思います。勝ち点は昨シーズンの終了時のもの、市場価値はtransfermarktにある昨シーズンの市場価値を使用します。
こちらが昨シーズンの勝ち点と市場価値の関係です。
相関係数が0.79ということなのでクラブの市場価値と勝ち点の間に今シーズンほどではないものの強い相関が見られる(関係がある)ということがわかります。
上記の結果によりやはり大金をかけて良いスカッドを組めば多くの勝ち点を稼ぐことができる可能性が高くなることがわかりました。(当たり前)
しかし一部のビッグクラブ以外はそんな札束で殴るような作戦をとることができません。そこで今度はコスパ良く勝ち点を稼いでいる、上記の結果にあらがっている模範的なクラブを探そうと思います。
コスパ(20-21)
先ほどのグラフで右下に行けば行くほどコスパ良く勝ち点を稼ぐことができているということなので、昨シーズンはパッと見てリーズ、ウエストハム、レスター辺りが優秀なように見えます。しかしこのままだとどのクラブがコスパが良いのか分かりづらいので勝ち点1当たりにかかった市場価値の数値も出してみました。
勝ち点1あたり2.74m€ということでリーズが飛びぬけて優秀な値を出しています。昇格組ながらハードワークで上位相手にも殴り合う自らのサッカーを貫き9位フィニッシュと内容もコスパもすばらしい結果でした。
バーンリーやウエストブロムなどは勝ち点自体が低いため除くとして、次点でウエストハムとアストンヴィラもかなりコスパ良く優秀な成績を残しています。
レスターも6.22m€ということでほぼ同じ勝ち点で2倍以上の市場価値であるリバプールやチェルシーと比較するとかなりコスパ良く戦っていたことがわかります。終盤で失速し最終節でCL出場権を逃すなど、選手層の厚さの大切さを学ぶ1年でした。
フラムやアーセナルは市場価値のわりに勝ち点を稼ぐことができませんでした。
フラムは失点こそ程々に抑えていたものの得点が27とリーグワースト2位で、昇格組にしてはかなり豪華で中堅クラブと同じ規模のスカッドを上手く生かすことができませんでした。
続いて今シーズンのデータでもコスパ良く戦っている模範的なクラブを探していきます。
コスパ(21-22)
昨シーズンと同じ基準にするために後半戦も同じ成績を残したと勝手に仮定して計算の際に勝ち点を2倍しました。こちらが結果です。
これを見るとブライトンとブレントフォードが去年のリーズほどではないもののコスパ良く戦っています。ブライトンのグラハム·ポッターはビッグクラブから引き抜きの噂も絶えない監督で豪華なスカッドを与えても上手く戦術を落とし込み活用できるのか気になるところです。ブレントフォードは統計学を用いたスカウティングを駆使しているとのことで、チームに合った良い選手を安く獲得するスタイルがコスパ良く戦えている秘訣でしょう。ワトフォードなどは勝ち点自体が低いため除外するとして、
ウェストハムとウルブスもコスパ良く勝ち点を得ています。特にウエストハムはELでもグループステージ首位通過、カラバオ杯もベスト8、FA杯も順調に勝ち進むなど多数のコンペティションを同時にこなしていることを考えるとかなり優秀な戦い方をしています。
レスターは勝ち点1あたり10.3m€と昨シーズンの6.21m€と比べるとかなり悪化していることがわかります。選手の層も厚くなり市場価値は上昇したものの怪我での離脱が多く厚くなった選手層の恩恵を上手く受けることができなかったことが原因と思われます。
ニューカッスルとエバートンはかなり悪い値です。ニューカッスルに関してはここから更に補強を行いチームを新しくしていく途中のため置いておくとして、エバートンはFFPの限界が近い上に新たな監督を招聘しなければならず難しい状況に置かれています。ユナイテッドは一番悪い値を出していますが、ラングニックの戦術が上手く浸透すれば後半戦でのパフォーマンスも上がり数値も改善されるでしょう。
まとめ
クラブの市場価値と獲得勝ち点には強い関係が見られた一方、昨シーズンのリーズ、今シーズンのブライトン、ブレントフォード、ウエストハムなどがコスパの良い戦い方をしていることがわかりました。ではこれらのクラブの共通点はどこにあるのでしょうか?
1つは戦術家の監督が率いていることが挙げられます。戦術狂いで有名なビエルサを始めポッターやフランクも戦術に明るいです。そしてクロス一辺倒のイメージがついてしまっているモイーズもウエストハムでは順調に戦術の引き出しを増やしています。
その他にはリーズやブレントフォードはデータを駆使してチームに合った掘り出し物の選手をスカウトしていることも挙げられます。リーズのビエルサは今でこそ外部アナリストの調査なども取り入れているそうですが、アルゼンチン時代には自ら国内すべてを見て回ったという逸話も持っています。ブレントフォードは会長のマシュー·ベンハムのデータ理論と昔ながらのスカウトを上手く組み合わせることでチームにフィットする新戦力を発掘しています。これらが限られた財源の中で良い成績を残す秘訣なのでしょう。
おまけ
優勝時のレスターはどのくらいコスパが良かったのでしょうか。
レスター(15-16)勝ち点81、市場価値91.25m€
参考までに15-16シーズンのレスターを昨シーズンのプレミアリーグに放り込んでみました。結果がこちらです。
勝ち点1当たり1.13m€ととんでもない数値をたたき出してしまいました。グラフで見るとその数値の異常性がより伝わるかもしれません。ありえない位置にいます。ぶっちぎりでコスパの良かったリーズの2倍以上のコスパを記録しています。
先ほどは0.8付近だった相関係数も0.635と1クラブで結果をゆがめてしまうほどのコスパの良さです。
今後このコスパの良さを上回るクラブは現れるのでしょうか?
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スパーズ戦の振り返りは後日行いますので、振り返る心の余裕がある方は是非ご覧ください。